嬉しい知らせ

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金木犀の香りが漂い始めると、季節が秋に変わるのだなと感じます。
沈丁花は春の知らせ、金木犀は秋の便りですね。

段々と日が短くなるこの時期、金木犀の香りは少し物悲しくなってしまうのですが…

精神科の診療では、患者様とのお付き合いも長くなってくる事があります。
中には以前の勤務先から、もう10年以上のお付き合いになる方もいらっしゃいます。

一人ひとりの患者さまの人生を側で拝見していると、困難な時期もあれば、物事が順調に進むこともあります。思いがけないびっくりする展開が待っていることも。

女性患者さんの場合は就職転職、結婚、妊娠、出産など、人生の大きな転機が次々と訪れるので振り返ると10年くらいはあっという間に過ぎていきます。

最近は自然妊娠される方よりも不妊治療を受けて授かる方が多いのですが、こればかりは神のみぞ知るばかり…
せっかく妊娠されても無事出産に至るとは限りません。残念ながら、赤ちゃんを諦めざるを得ないことも決して稀なことではありません。

なので、患者さまが妊娠されて良かったなとは思うのですが、生まれてくるまではおめでとうございますとは言えないのです。

近年の妊産婦における精神科薬物療法では、副作用に留意しながら、母体を優先して治療を進めていく方針が主流となっています。患者さまのご希望も聞きつつ、医師として勧めるべき医療が提供できるよう努めています。
もし自分だったら、どういう選択をするだろうかと問いかけながら。
妊娠中も産婦人科の先生とも適宜連携を取り、フォローしています。

無事ご出産され嬉しい報告をいただくと、私もようやく喜び、ほっとするのです。

先日も、第一子の誕生を報告に患者さまのパートナーの方がクリニックにお見えになりました。

感謝されるのは照れますが、私も皆さまから力強く前向きなパワーを頂いているのです。

精神的にも辛い時期を一緒に乗り越え、母となって新たな歩みを始める患者さまの力になれることに、いつも何とも言えない喜びを実感します…

今月は久しく会えなかった友達や大切な人達とも会うことができ、嬉しい知らせが続きますね。