BACI e ABBRACCI

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街路樹の銀杏の萌黄色に見惚れてずっと上を見ながら歩いているこの頃です。

この時期はこんな景色を見ながら、大好きな小径を歩いて通勤しています。

さて皆さま、最近誰かを抱きしめましたか?

昔々ではありますが、ヨーロッパに住んでいたことがあります。

ラテン系民族のストレートな愛情表現に当初は戸惑いましたが、すぐに慣れました。

アパートの下の階のリタおばさんと会うと毎回ciao、cara! と呼び止められます。言葉を交わすと最後はいつも、熱烈なbaciと苦しいくらい愛情たっぷりのabbracci、むぎゅううううーーーっと抱きしめてくれました。

異国の地での悔しいことも、悲しい気持ちも吹き飛んでしまうくらいです。

元気でいてくれて嬉しい、いつもケアしていますよ、という優しい親密さを伝えてくれます。

残念ながら今はコロナで人との接触を避けるため、キスもハグも控えなければいけませんね。

診察をしていて、同性患者さまに限りますけれども、(異性ではセクハラ案件になってしまいますね。)慰めの言葉を見つけるより、ギュッと肩を抱いて気持ちを受け止めることもあります。

同情や慰め、励まし、傍にいて見守っていますという感情を瞬時に伝える表現でもあるのだと思います。先日診察にいらしたご高齢のご婦人も、気持ちが少しでも鎮まると良いのですが・・・

ご家族にパートナーに、大切なペットにも。時には愛情溢れるハグをしてみてはいかがでしょうか。

たまにふと、日本ではもうあんなに温かい抱擁もされることがなくて寂しいなあ、と思うのです。

春は梅に沈丁花からフリージア、ヒヤシンス、桜に躑躅と百花繚乱です。
ただの街の景色も、今は素敵な眺めでしょう?